TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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30 宅可能な職の人はいいですが、不可能な職の人はコロナ禍に対して非常にリスクを感じながら働かざるを得ず、ある種の格差が生じていると思います。また、デジタルが使えるかどうかというデジタルデバイドの問題もあると思います。こうした問題の一部には、社会慣習に基づくものもあるでしょう。対面主義や書面主義、押印主義といったわれわれの手で変えられるものは、変えていくべきです。他方、雇用問題はなかなか難しい問題も含んでいて、必ずしもみんながオンライン環境に行けるわけではないし、そうした人たちに対してどのように雇用対策を行うのかも重要な課題だと思います。 これまでいろいろな事情で家庭の外に出られなかった人たちが社会に出るきっかけをデジタルが与えてくれたことを目の当たりにする中で、格差を乗り越える社会包摂にデジタルはなくてはならないものとして考えるべきでしょうし、ICT環境をある程度ユニバーサルサービスとして認めていかなければなりません。デジタルについてはリカレント教育をどうしていくのかについても併せて、社会の対策の中で考えていく必要があると思います。 感染症パンデミック以外にも、われわれはグローバル・ローカルを含めていろいろなリスクを抱えています。直近では自然災害が増えてきていますが、河川氾濫の発生を含めてわれわれにとって環境リスクなのだと思います。こうしたリスクに対して、社会経済システムをどうデザインするのかは重要なことだと思います。 これまでは、ややもするとシステムの経済性や効率性は非常によく議論してきたと思うのですが、リスクやショックが起こったときに、インフラシステムが耐えられるのかどうか(耐性:ロバストネス)、柔軟に耐えられるのかどうか(可塑性:レジリエンス)が従来以上に求められていますし、エクストリームなイベント(極端な事象)が起きたときに社会がどう

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