TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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32 なかなかできませんが、その辺を取っ払うような方法を取れば、非常に効果があるでしょう。ECMOは実験的治療ではなく、救命率の非常に高い治療ですが、手間も時間もかかることを考えると、そうした地域から運び出すことは非常に有用な方法だと思います。 南学 確かにニュースでドイツがフランスやイタリアの患者を受け入れているのを見て、本当にすごいと思ったので、そういったことが可能になればいいと思っています。 グローバル化が起こり、COVID-19のようなことが100年に一度ではなく、非常に身近な問題として頻繁に起こる可能性が大きくなっていると思います。まず舘田先生から感染症学会理事長の立場として、今回の危機を見て今後解決すべき課題、新しい時代に感染症学会として行うべきことについて、コメントを頂いてもよろしいでしょうか。 舘田 今回の新型コロナウイルス感染症の経験をどう生かすかですよね。ご指摘のように、こうした新型感染症はまた必ず出てくるのですから、そのときにいかに早く診断法を確立できるような仕組みをつくっていくか、治療薬やワクチンを開発できるような体制を整えるかだと思います。これは一国だけでなくワールドワイドで仕組みをつくっていかなければなりません。有事のときはこういう議論は盛り上がるのですが、それが通り過ぎてしまうとすぐになくなってしまうのが残念なところです。決してそういうことがないように、今回の事例を乗り越えた後、次に来る新型感染症に対する備えを考えていかなければならないと思います。 南学 それでは西田先生から、今回のコロナ危機に対応して、集中治療のベッドの数や対応すべき医療スタッフの数を柔軟に増減できるシステムに加えて、集中治療医学会として今後取り組むべきことや将来展望などがあればご教示いただけますか。

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