TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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30 南学 最初に館田先生から、感染予防、3密の防止などについてお話しいただきました。マスクの着用、手を洗うこと以外に、いろいろなところを消毒することが大事だといわれていますが、次亜塩素酸水をどう使えばいいのか、そもそも効くのかということが話題になっています。次亜塩素酸水を噴霧することで健康被害はないのかという話もあると思うのですが、次亜塩素酸水による消毒についてはどう考えたらいいでしょうか。 舘田 次亜塩素酸水に関しては、アルコールが欠乏してしまってなかなか手に入らない状況において、その応用が考えられてきました。次亜塩素酸水自体がウイルスに対する殺菌作用があるため、効果が期待できると思いますが、一つ注意しなければならないのは、行政からも指針が出ていますけれども、人に噴霧させると吸入してしまって、思わぬ副作用を誘発してしまう可能性がある点です。ですから、人に直接噴霧するようなことは避けながら、器具や環境の消毒に使っていくことが大事だと思います。 南学 西田先生は数多くの重症患者を診られていると思うのですが、先生が診られていて、こういう人が重症化する、こういう人が大丈夫そうだというのはありますか。年齢が重要な危険因子であるといわれているのですが、それ以外にはありますか。 西田 数字にも表れていますが、慢性の肺病変や肺疾患がある人や、高血圧、心臓などの循環器系の疾患、糖尿病、肥満など、ACE2の関連があるような基礎疾患のある患者は重症化しやすい印象があります。 南学 舘田先生に伺いたいのですが、昨日の夜にオックスフォードの知人から連絡があって、ステロイド剤のデキサメタゾンを投与して比較試験を行ったところ、人工呼吸器装着患者では死亡が3分の2に減ったことが分かったので、プレスリリースしたそうです。先ほど紹介されたオルベスコが吸入のステロイドだと思うのですが、ステロイドの治療はサイトカイ

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