TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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20 切ることができたわけです。決して油断することはできませんが、第1波を経験してウイルスの特徴がある程度分かってきています。医療現場も第1波ほど混乱なく準備できる状況にあることが重要だと思います。 ただ、再緊急事態宣言を出さざるを得ない状況はいつ来てもおかしくないと思います。そんな中、政府は「新しい生活様式」として、3密を避けたり、ソーシャルディスタンスを保ったり、テレワークやオンラインを使ったりして、われわれの生活を変えていかなければならないと提言しています。ここで重要なのは、何でもかんでも駄目だというだけでは長続きしないということです。一人一人が想像力を働かせ、めりはりを付けた対策を取ることが重要になると思います。 風邪コロナウイルスの月別検出状況を見ると、11月から1月にピークを迎え、5~6月に下がり、また11月以降に増えていきます。もしも新型コロナが同じようにコロナウイルスとしての特徴を持っているとするならば、夏には広がりを抑えられるかもしれません。熱帯地域でも広がっているので、広がりにくい状況の中でも広がる要因があるとは考えられますが、いずれにしてもこれから冬になったときにどういう動向を示すのか、非常に注意していかなければならないと思います。 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が4月1日、「日本モデル」という言葉を使って提言をしました。非常に重い言葉だと感じています。1点目が、クラスターの早期発見と早期対応です。保健所や地方の衛生研究所の協力によってできた活動ですが、クラスター対策を強化する方向に努力していかなければなりません。2点目が、重症者への集中治療と医療提供体制の確保です。医療崩壊を起こさないための箱、物、人を今の間にしっかりと準備していかなければなりません。3点目が、市民の行動変容です。一人一人のめりはりを付けた行動変容を私たちの文化にしていかなければならないと思います。

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