TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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19 クラスターが報告されているのはご存じかと思います。その点では、リスクがあるところをしっかり押さえれば、この感染症はコントロールできるとも考えられます。まさにライブハウスでは近距離で大声を出し合いますし、不特定多数の濃厚接触、換気の悪い環境があるので、今考えるとその環境にリスクがあることは分かると思います。 そして、マスクによってマイクロ飛沫は抑制されます。われわれが「マスク文化」を持っていたことはラッキーだったのではないかとも思うのですが、どこでもマスクを着けなければならなくなってしまうと、熱中症の危険性を高めるリスクもあります。ですから、めりはりを考えたマスクの使い方をしなければならないでしょう。もう一つ日本人として注意しなければならないのは、同調圧力が強くなって差別や偏見を引き起こしてしまう可能性がある点です。 治療に関しては、まだ残念ながら確立した治療薬は見つかっていませんが、ウイルスの侵入を抑えるもの、ウイルスの遺伝子の複製を抑えるものの中にはアビガンやレムデシビルがあります。ウイルスが排出された後、生体の反応を抑える点で、リウマチの治療薬であるアクテムラや、喘息の治療薬であるオルベスコは効果があるのではないかということも報告されています。現在、コントロールスタディの成績を得て有効性を確立するための検討が進んでいるところです。 5. 今後の展望 最近の話題としては、第2波がいつ、どのくらいの規模で来るのかということが様々な形で議論されています。今は第1波を乗り越えて、小さなクラスターを経験している時期ですが、第2波が来るとすれば秋から冬ではないかとよくいわれます。重要な事実として、われわれは第1波を乗り

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