TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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17 感染症であるだけでなく、全身性の病気の原因となる可能性が指摘されているのです。 3. PCR検査の現況 PCR検査に関しては、本当に大変な状況を乗り越えてきたわけですが、最初の頃はキャパシティが限られており、1日に検査できる数が1000件程度にとどまっていました。そういった状況の中でPCR検査は、重症者を診断して助けることとクラスターをできるだけ早く見つけて対策を取ることに集中せざるを得ませんでした。 その後、民間検査会社の協力を得て、今では1日1万件を超える検査ができるようになり、医師が必要と判断した症例に対して速やかに検査が行われる体制が確立されました。第2波が来たとしても、すぐにそうした検査体制を整えることは重要なことだと思います。 そして、様々な新しい事実も分かってきました。新型コロナウイルスは唾液腺にも感染し、唾液中に高濃度に排出され、唾液がおしゃべりなどで排出されることによって近くの人に感染するとともに、唾液を用いた遺伝子検査の可能性も示唆されてきました。 通常、インフルエンザの飛沫感染といえば、咳やくしゃみによる伝播が主でした。ところが、新型コロナに関しては、大きな声でのおしゃべりによって想定以上に小さなマイクロ飛沫が飛び出し、それが近くの人に感染を起こすことが明らかになってきました。そして、インフルエンザや花粉症の対策として着けていたマスクがそれを抑えることが最近になって分かってきています。

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