TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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15 1. 新型コロナウイルスの現況 Worldmeterに示された疫学情報によると、6月13日時点で感染者約770万人、死者42万人以上と報告されています。この数はまだまだ増えていて、現在も1日当たり10万人を超える患者が発生しています。 日本は、1月16日に最初の症例が報告されて以降、厚生労働省のクラスター対策班がクラスターを見つけて抑える活動を行ってきましたが、それでも抑え切れなくなり、4月7日に緊急事態宣言が発出され、何とか感染者が抑えられていく中で5月25日に宣言が解除になったわけです。しかし残念ながら、今でもクラスターが散見される状態が続いています。第1波は乗り越えましたが、第2波、第3波がどういう形で来るのかが大きな議論になっています。 一方、日本における死者数、特に人口当たりの死者数は海外と比べて非常に低いといわれています。その点については海外からすると不思議だと言われているのですが、明確な理由がよく分かっていないのが現状です。また、年代別の感染状況を見ると、10代以下の感染者が少なく、高齢者の死亡率が高いことが大きな特徴になっています。その理由についてもまだよく分かっていません。 私が勤務する東邦大学医療センター大森病院でも幾つかのアウトブレイクを経験しました。その一つが1月半ばの屋形船の事例です。われわれの施設で受け入れた患者Aも新型コロナウイルス感染症が疑われましたが、残念ながらPCRが実施されずに診断がつきませんでした。そして、同じ船に乗り合わせた患者Bが入院しました。この人は武漢と繋がりがあり、PCR検査で陽性になったため、屋形船のクラスターが明らかになりました。患者Bの妻も怪しかったのですが、PCRを実施できず、妻の母が陽性となり、残念ながらこの方は亡くなりました。この他、屋形船に乗った人の中で数人が陽性を示し、クラスターが明らかになったのです。寒い

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